2019/2/2

ちょっと一息

 事務局のつぶやき

 今朝起きてみると、庭の土が5センチほどになろう高さの霜柱が庭一面を覆っていた。ふと頭上を見上げれば、一片の雲さえない青空が大きく広がっていた。今朝6時の極東の気圧配置図を見れば、種子島の上空に東進する高気圧がどっかりと居座り、背後には北京の上空に張り出す低気圧が後を追うように東進している。関東地方は東進する高気圧の前面に位置するため、今日は絶好の写真撮影日和と思われた。
 1月27日にブログにアップされた佐藤議員のことを想い出し、急きょ、富士山が見えると言う葉桜のビューポイントに行ってみることにした。長柄桜山第一古墳の近くだと言う情報だけを頼りに不案内の道を歩いて行くと、葉桜の南の端に、この近くに住む人達の生活道路上に漸くそのポイントを見付けた。それはまさしく、独り占めしていたいほどの絶景が目の前に広がっていた。それは逗子で一二位を争う程の、目の前一杯に広がる広大な絶景であった。佐藤議員が言っていたことには本当であった。その時の写真を、さとう恵子オフィシャルホームページの「逗子百景オリジナル」の中に数枚そっと放り込んでおいたが、余り他人に教えたくない、独り占めしておきたい程のビューポイントである。
 だが、絶好のビューポイントに広がっていた富士山には薄らと霞が掛かっているようにも見える。気象庁の黄砂情報でも黄砂は観測されていない。・・・となると、これは春霞なのかも知れない。そう言えば今年の立春は明後日の2月4日、暖かい春が待ち遠しい。
 そのビューポイントから僅かに歩いて行った所に、長柄桜山第一古墳への急登の遊歩道があった。今はちょうど、神奈川県の自然環境保護整備が行われている最中であった。半年前までは全くと言って良いほど人の手が入っていなかった山であったが、今は奇麗に木が伐採され、目を見張るような絶景が此処にも広がっていた。
 山は人が入らなくなると荒れると言われている。まさに以前はそうであったが、今は奇麗に下草が刈り取られ、山肌の崩壊を防ぐ土留めも施されている。そう言えば去年、30余年ぶりに北アルプスの北穂高岳に登って来た。仕事の関係で長い間山に行くことができなかったが、久しぶりに逗子の自宅に戻り住むことになり、心に若干のゆとりを取り戻したからだ。それにしても北穂高岳に登って驚いたのは、北穂の山頂にあった筈の二つのピナクル、即ち、尖った岩峰の一方のピナクルが跡形もなく崩壊してしまっていたのである。以前山頂には北穂高小屋に食料物資を運ぶための広いヘリポートがあった筈であったが、何時の間にか以前の半分にも満たない程の広さになってしまっていた。人が土地を開発をしなくても自然に山は姿を変えていってしまう。即ち、降った雨が岩の中に浸み込み、厳冬期にその水が凍って体積を増やして頑強な岩を少しずつ砕き、悠久の時を経て徐々に、或いは時には一気に崩れ落ちて形を変えてしまう。
 開発は決して悪いことばかりではない。独りでに自然が移り変わって行くのを、人間の力によってそのスピードを遅らせることもできる。だが一度その使い方を誤れば、もう二度と取り返すことができない程に、一気に自然を失ってしまう事だってある。だから人が手を加える場合は慎重に行わなければならない。それにしても逗子の貴重な遺産を取り戻してくれる公共事業は有り難い。だが自然環境保護整備が終わってしまえばもう安心と言う訳ではない。これからは此処に住んでいる私たちが此処を守って行かなければならない、この貴重な史跡や自然を子供たちに受け継いでいって貰わなければならないのだ。何時までも大切に守ってゆかなければならない逗子の貴重な宝物である。

 第一古墳から山道を歩いて第二古墳に行き、そして山道を下って六代御前に出た。家を出てから帰ってくるまで僅か二時間、逗子の奥深い歴史を垣間見たような小さな旅であった。

                                      ( 事務局 )